口角挙上は傷が目立つ?外側法と全層法の違い
外側人中短縮 口角挙上術 の症例情報
「口角挙上をしたいけれど、傷跡が目立たないか心配です」
これは、口角挙上のカウンセリングで非常によく聞かれる質問です。
口角挙上は、下がって見える口角を上げることで、明るく自然な印象の口元を目指す手術です。
口角挙上にはいくつかの術式がありますが、現在よく行われている方法として、主に
・外側法
・全層法
があります。
この2つは、単に切開する場所が違うだけではなく、傷の位置や得られる効果にも違いがあります。
外側法とは?
外側法には、Perkins法やJeong法など、いくつかの術式が報告されています。
外側法では、外側の上口唇から口角周囲にかけて皮膚を切除し、口角そのものを上方向へ移動させます。
Perkins法では、口角から上口唇の赤唇縁に沿って切開線をデザインし、口角外側の皮膚を切除することで口角を持ち上げます。
Jeong法でも、上口唇の赤唇縁から口角外側へ切開を延長し、皮膚・皮下組織を切除したうえで口角の位置を上方へ移動させています。
外側法のメリット
外側法の大きなメリットは、口角を上げるだけでなく、外側の上口唇から口角にかけての余った皮膚も同時に切除できることです。
そのため、
・下がった口角を上げる
・外側の上口唇のたるみを減らす
・外側人中を短く見せる
といった効果を同時に狙うことができます。
特に、加齢などによって口角だけでなく外側の白唇にも皮膚の余りがある方にはメリットがあります。
外側法のデメリットは「傷跡」
外側法で最も注意が必要なのが傷跡です。
皮膚を切開するため、傷が赤唇の外側まで延びます。また、口角をまたぐような位置に傷ができるため、体質やデザイン、縫合方法によっては傷が目立つことがあります。
Perkinsの報告でも、口角外側に約1〜1.5cmの永久的な傷が残ることが外側法のデメリットとして記載されています。
一方で、多くの場合は傷は徐々に目立ちにくくなり、術後2〜3か月程度で赤みが薄くなるとされています。
さらに参考になるのが、Jeongらによる498例の報告です。
この報告では、
・肥厚性瘢痕:4.6%
・陥凹性瘢痕:0.6%
が認められています。
また、瘢痕のために最終的に修正手術が必要となった症例は、全体の約3.4%でした。
つまり外側法は非常に有効な方法ですが、傷が目立つ可能性を無視できない手術でもあります。
特に口角周囲は会話や食事、笑顔などで常に動く部位です。
傷に強い力が加わると、瘢痕が幅広くなったり、口角部分にひきつれが生じたり、いわゆる「水かき」のような形の瘢痕になることがあります。
そのため、外側法ではデザインだけでなく、傷にかかる緊張をどのように減らすか、どの位置に傷を置くか、どのように縫合するかが非常に重要です。

全層法とは?
全層法は、口角部分を皮膚から粘膜まで全層で切開し、口腔側の粘膜を外側へ前進(advance)させることで、口角の位置を上げる方法です。
外側法とは異なり、口角外側の白唇の皮膚を大きく切除しません。
全層法のメリット
大きなメリットは、傷を赤唇や口角の内側に隠しやすいことです。
そのため、外側法のように口角外側へ長い皮膚の傷を作らずに口角を上げることができます。
また、口角をまたいで皮膚を縫い合わせる方法ではないため、外側法で問題となることのある「水かき状の瘢痕」を作りにくいというメリットがあります。
さらに、切開線を横方向へ調整することで、口角を上げるだけでなく、口唇の横幅を広げる効果を出すこともできます。
傷をできるだけ目立たせず、自然に口角を上げたい場合には非常に有効な方法です。

全層法のデメリット
一方で、全層法では外側の白唇の皮膚を切除しないため、外側人中が長い場合や、外側の上口唇に皮膚のたるみがある場合には、その部分までは改善できません。
そのような場合には、
全層法による口角挙上+外側人中短縮
を組み合わせることがあります。
つまり、
「口角そのものを上げたいのか」
「外側人中も短くしたいのか」
「外側の皮膚のたるみも取りたいのか」
によって適した術式が変わります。
今回は全層法で口角を挙上しました
今回の患者様には、全層法による口角挙上を行っています。
術後1週間の段階ですが、皮膚表面に長い傷がないため、傷跡はほとんど目立っていません。
また、単に口角を強く引き上げるのではなく、口角そのものの位置と形を整えることで、自然に口角が上がっています。
口角挙上では、「どれだけ上げるか」だけでなく、傷をどこに作るかということも非常に重要です。

外側法と全層法、どちらが良い?
どちらが優れているというわけではありません。
外側法は、
・口角を上げたい
・外側の白唇のたるみも取りたい
・外側人中も短くしたい
という方にメリットがあります。
一方、全層法は、
・皮膚上の傷をできるだけ目立たせたくない
・口角そのものを自然に上げたい
・口唇の横幅も調整したい
という方に向いています。
私は口角だけを見るのではなく、内側人中、外側人中、上唇の形、口角の位置、口唇の横幅まで含めて全体のバランスを評価し、術式を選択することが重要だと考えています。
自然で綺麗な口元を作るためには、一つの術式にこだわるのではなく、その方の口元に合わせて必要な手術を組み合わせていくことが大切です。

参考文献
- Perkins SW. The Corner of the Mouth Lift and Management of the Oral Commissure Grooves. Facial Plast Surg Clin North Am. 2007;15:471–476.
- Jeong TK. Surgical Method of a Corner Mouth Lift. Plast Reconstr Surg Glob Open. 2020;8. doi:10.1097/GOX.0000000000002653.